あれっ――!?
この小太りの子、誰だっけ……。
えっ、トモ!? トモって誰!?
デブトモ!?
よほど『リアル』を読み込んでいたとしても、そう思って面食らった読み手は多かったのではないだろうか。
ああ、そうか!
"朋美"の"トモ"か!!
11月11日に発売される『リアル』11巻に収録されている、第65話。
さあ、いよいよ野宮のトライアウトも佳境だと思いきや、突然、登場した少年がよもや子どもの頃の野宮朋美だなんて、思いもしない。
まして18歳にしてあの強面の野宮がどんな子どもだったのかなんて、誰もイメージしたことはなかっただろう。
「あのエピソードはどうしても描きたかったんです。
だって、野宮という人間がバスケとどんなふうに出会ったかというところに遡らないと、野宮とバスケとの結びつきがどの程度の強度なのかということがわからないんじゃないかなと思ったからです。
野宮がとってつけたようにバスケだ、バスケだといってると思われたらイヤだなというのと、なぜこんなに野宮はバスケにこだわるのかということを、描いている自分も知らなきゃと思って、それで遡ってみたんです」
バスケ、しない?
トモにそうスペイン語で話しかけてきたウゴ。彼のおかげで、トモはバスケットボールに出逢った。ウゴとの1on1に、トモは夢中になる。しかし、やがてウゴはトモの前から去っていった。
もしかしたら、ウゴはトモにとっての初めての仲間だったのかもしれない。バスケは、トモに居場所を与えてくれた。コートに立ってゴールを狙えば、仲間が集ってきた。
バスケのコートはトモに、いつでも帰っておいで、と言ってくれたのだ。
「11巻の後半は、描くのに時間をかけることができたんです。ストーリーを練ること、絵を描くことに、今までにないほど時間をかけられた。いや、かけられたというより、意識的に時間をとったという方が正確かな。
なぜかというと、もう体力的にも短時間でバーッとやるのは無理だと気づいたんです。口では否定していても、結果を出すことに囚われていたんでしょうね。
好きでやってることだったのに、いつの間にか苦しさが伴ってきて、いろんなものを背負い込む感じとか、それでも負けずに頑張るとか、自分の中で作ってしまった思い込みの世界に気づけなかったんです。
それが、病気をしたり、家族と過ごす時間を大切にしてみたら、自分は何を求めていたのかということが見えてきた。そうしたら、この『リアル』という作品にもっとしっかり向き合いたくなったんです」

